層で読む、価格差の正体
スーツの値段は「生地のブランド」で語られがちですが、着姿と寿命を左右する投資対効果の順に並べ替えると、序列が変わります。編集部の見立ては——芯地 > 肩まわり > 表地 > 裏地。
表地——いちばん語られ、いちばん誤解される層
Super表記や毛番手で価格が跳ねる層。ただしSuper 110'sと120'sの繊維径差はわずか0.5μm。数字を1段上げるより、目付(重さ)と織りを用途に合わせる方が満足度に効きます。
芯地——見えない層に、価格帯の断層がある
胸の立体を作る心臓部。〜5万円帯は接着芯、5〜10万円帯でハーフ毛芯、10万円超でフル毛芯が目安。接着芯はクリーニングを重ねると剥離リスクがあり、毛芯は着るほど体に馴染む——寿命の差はここで決まります。
価格への効き:3万円と10万円の「答え」の大部分。注文時の一言「芯は何ですか」が最強の質問。→ 芯地とは
肩まわり——直せない場所に、技術が集中する
肩パッドと袖山の作りは、後からのお直しがほぼ効かない領域。オーダーの本質的価値は「直せない場所を最初から合わせられる」ことにあり、いかり肩・なで肩の補正はここで決まります。
価格への効き:工賃(人の手数)として現れる。パターンオーダーとフルオーダーの工程差が最も出る層。→ 仕立て方式の比較
裏地——数千円で体感が変わる、費用対効果の王
ポリエステル(丈夫・安価・蒸れやすい)か、キュプラ(吸湿・滑りが良い・静電気に強い)か。通年着るならキュプラ換装は最も安い「格上げ」です。背抜き/総裏の選択は着用シーズンで。
価格への効き:オプション数千円。全層の中で最小の投資で最大の体感差。
よくある質問
3万円と10万円、いちばん大きな違いは?
胸の芯地です。接着芯か毛芯か——表地のSuper表記より、着姿と寿命への影響が大きいのはこちらです。
裏地はどれを選べばいい?
通年ならキュプラが第一候補。数千円のオプションで蒸れと静電気が体感で変わります。